アートとファッションを「つなぐ」 ヨークの魅力を徹底解説
世界的に有名な美術家のアート作品から着想を得ているドメスティックブランド「YOKE」。シーズンごとに1人の美術家のアート作品の特徴を、デザインに落とし込んだ魅力のあるアイテムを提案しています。
また、近年ジェンダーレスという言葉がより身近になり、ファッション業界でも同じように性別に囚われないデザインが重視されています。そんなYOKEはユニセックスで着用できるアイテムを展開しており、2018年のデビュー以来常に即完売で品切れ状態が続いている今話題のブランドでもあります。
この記事では、YOKEというブランドを解説していきながら、デビュー以来話題となっているきっかけやYOKEの魅力である抽象表現したデザインについて迫ります。
YOKEとは?
YOKEは、人やモノをつなぐことをテーマにアイテムを作っているブランドです。アイテムはスタンダードなものが多いですが、素材・パターン・色・ディティールにYOKEらしさを感じさせるような特長を盛り込んでいます。最近では、インフルエンサーによって知名度を上げており、気になっている方も多いと思います。ここでは、YOKEの歴史や現在、デザイナーについてみていきましょう。
YOKEの始まり
YOKEは、素材やパターンにこだわりながら、現代的な要素や流行を取り入れたアイテムを多く生み出すブランドです。ベーシックな中に、YOKEらしさが垣間見えるのが特長。コンセプトは、「つなぐ」。「 モノがヒトをつなぎ、ヒトがヒトをつなぎ、ヒトがモノをつなぐ 」という繋がりを意識したブランドです。2018年のAWコレクションからスタートしたブランドですが、2023年現在は、国内約40店舗、海外13店舗に展開するほどの広がりを見せています。
デザイナー「寺田 典夫」
出典 wwdjapan.com
YOKEのデザイナーを務める寺田典夫は文化服装学院卒業後、 MARKAWAREなどの国内ブランドやOEMメーカーにて生産管理やデザインを担当し、経験を積んだ人物です。洋服を企画から生産する流れやブランドの運営を学んだ後、満を持して独立します。STEINのデザイナー浅川喜一朗氏とも交友関係があり、会社に属することで人とのつながりをもち、自分を大きく成長させてきた人物です。 YOKEをスタートさせた後には、「TOKYO FASHION AWARD 2022」にて、第7回アワードを受賞。TOKYO FASHION AWARD 2022のショーでは、会場を美術館に見立て、アイテムを身にまとったモデルが作品鑑賞をする様子が話題を呼びました。美術品やアーティストから受けたインスピレーションと自分の感性をミックスさせ、生まれたデザインは他のブランドにはない雰囲気を纏っています。
20代~30代の男女から人気を獲得
スタートしてから、人気の幅を徐々に広げていったYOKEですが、インスタグラマーやユーチューバーなど様々なインフルエンサーの発信を元に、爆発的に知名度を獲得していきます。有名なユーチューバーが1つのコートを紹介したことで、人気に火が付き、ブランドの軸となるアイテムとなったのです。人気のある層は主に20代~30代の男女。寺田氏は、自分と同年代である30代に向けてブランドを展開していきたいという思いを持っており、今後は海外も視野に入れて、店舗や取引先を増やしていくという展望を語っています。
「つなぐ」デザイン
ブランド名の「YOKE(ヨーク)」には、「つなぐ」「絆」「洋服の切り替え布」といった意味を持っており、コンセプトとも大きく重なる名前です。アイテムにも随所に「つなぐ」要素が組み込まれているのもポイント。ニットで作ったフリースや、つなぎ目にニットテープを使用したスエットなど一貫性のあるアイテムを多く展開しています。スタンダードなアイテムに加えられているクセのあるディテールからは、寺田氏の感性が感じられます。また、素材やパターンにこだわりをもっており、手に取った時に初めてわかる素材の良さや男女共に着用できるパターンなどを追及しています。
本当の意味での「ユニセックス」
YOKEの特長のひとつに、ユニセックスアイテムを基調としていることが挙げられます。女性が着たときもシルエットが良くなるように意識されているため、家族でシェアするのもおすすめです。例えば、袖の接続方法を工夫することで、どんな体型の人でも肩が自然に落ちるようなシルエットに仕上げ、男性はゆるく、女性は抜け感を出しながら着こなすことができます。ファッションの楽しさをパートナーや家族とシェアできるのもYOKEの魅力でしょう。 このように、ひとつのアイテムによって、身近な人とのつながりが生まれるようなデザインになっています。基本的には、メンズサイズで展開していますが、シーズンに1~2型レディースだけのアイテムも展開しています。寺田氏は今後、レディースアイテムを増やしていくとインタビューでも語っているため、今後どのようなアイテムが展開されていくのか楽しみですね。
アートからインスピレーションを得る
出典 highsnobiety.jp
YOKEのコレクションには、世界的なアーティストの作品から着想を得ているものが多いのはご存じでしょうか。毎シーズン、アーティストの作品の特徴的なデザインからインスピレーションを受けてコレクションを作っています。美術に造詣の深い寺田氏だからこそ作ることができるアイテムは、もはやアート作品ともいえます。寺田氏が影響を受けている抽象芸術やコレクションに加えられている要素についてもチェックしていきましょう。
画家の作品をテーマに落とし込む理由
寺田氏が画家の作品をテーマに落とし込む理由が気になる方も多いでしょう。実は寺田氏は、文化服装学院に入学する前は、美術系の大学に通っていた過去を持っています。学生時代は自ら絵を描くことが好きだった寺田氏は、服を作り出してからは、美術家自身について調べるようになります。自分らしさを出したいと考えて辿り着いたのが、アート。美術家の作風や色味などをコレクションに落とし込むことで、自分なりに洋服にアプローチできると考えたとインタビューでは語っています。そして、寺田氏がメインテーマとしているのは、抽象芸術のアーティスト。線の動きや模様・色などをコレクションに取り入れています。
抽象芸術とは
寺田氏がメインテーマとして掲げている抽象画とは、人物画や風景画など具体的なモチーフを描かず、抽象的な色使いや独特な技法で感情や心の内を表現する芸術を指します。作風は作家によっても異なりますが、抽象芸術に共通しているのは、激しい色彩表現や、ダイナミックな画風です。
絵画技法としては、素材と格闘すると定義づけているアクション・ペインティングと感情を描くカラーフィールド・ペインティングというスタイルがあります。どちらもダイナミックな画風なのが特長ですが、描くこと自体を目的としているアクションペインティングに対し、カラーフィールド・ペインティングは色の彩度や明度による表現を使い、心情を描いていることが特徴です。
YOKEのデザインは抽象画家が描くランダムな線の動き、定まらない形の模様をアイテムに組み込んでいます。抽象芸術の特徴的な色彩表現をただ取り入れるのではなく、印象に残りつつもファッションとして取り入れやすいよう、YOKEらしくデザインされています。
YOKEらしい色とは?
YOKEのコレクションを見ていくと、「どことなくYOKEっぽい色だ」と感じる瞬間があります。YOKEはカラーデザインにも力を入れているため、暖色から寒色まで幅広い色を使っています。その中で共通しているのは、複数の色が混ざった様な中間色と全体的にくすみがかったような色使いです。赤や緑などの原色や蛍光色、パステルカラーなど鮮やかな色使いがないのも特長です。ハッキリした色や柔らかい色を使わないことで、抜け感とリラックス感を表現しています。
抽象芸術からインスパイアされたシーズンと代表作
抽象芸術やYOKEのコレクションについて見てきましたが、ここからは具体的に、コレクションがどのようにアート作品から影響を受けているのかを見ていきましょう。カラーだけではなく、素材やパターン、レイヤードやステッチなどのディティールなどで、アート作品を洋服へと落とし込んでいます。
パウル・クレー(2020AW)
出典 museumanote.com
2020年AWコレクションのテーマは画家の「パウル・クレー」の作品です。パウル・クレーの作品の特長は、温かみのある深い色彩。その色彩を見事に表現し、点や線、ブロックなどを不規則に組み合わせたデザインです。また、パウル・クレーは芸術家、音楽家の二つの顔を持ち、この二面性がこのシーズンのアイテムにも反映されています。リバーシブル仕様だったり、シルエットを変えたりすることで、表情が変えられるように作られています。
PAUL JACQUARD CREW NECK
『橋の傍らの三軒の家』という作品を表現したニット。ブロック状の柄を組み合わせ、滲んだようなグラデーションが印象的です。ベビーアルパカ混のシャギーヤーンで編まれており、軽くて繊細なファーが色彩をより美しく見せてくれます。
2020AWリバーシブルトレンチコート
パウル・クレーの二面性を表現したトレンチコートです。ガウンを掛け合わせたデザインになっており、ジッパーを調整することで、シルエットを変えたり、セパレートさせたりと楽しみ方が多いのが魅力です。
マーク・ロスコ(2021AW)
出典 jbpress.ismedia.jp
「マーク・ロスコ」の作品をイメージして作られた2021年AWコレクション。マーク・ロスコの作品は、色を幾重にも重ねることによって生まれる透明感が特長。深みのある落ち着いた色味がバランス良く構成されています。コレクションでは、色の深みや揺らめきが表現されています。
YOKE ROTHKO JACQUARD CARDIGAN
ジャガードで織られたカーディガンは、グリーンやブルー、ピンク、イエローなど、豊かな色彩が組み合わさっています。ジャガードに鮮やかな色をのせることで色の縁を感じさせず、控えめでありながら存在感のあるアイテムとなっています。
バーネット・ニューマン(2022SS)
出典 tachitasa.com
バーネット・ニューマンの作品をテーマとした2022年のSSコレクションは、色を重ねることで奥行きを出しているのが特長です。バーネット・ニューマンの作品は、激しい色味を抑え、巨大な色面を細い縦線で区切った「ジップ(zip)」と呼ばれる作品が多く見られます。
CONNECTED 7P STRAIGHT DENIM TROUSERS
パンツのサイドにステッチのラインを走らせることで、ジップを表現した特徴的なアイテム。ゆるめのシルエットにインパクトのあるステッチを施すことで、メリハリのある印象に仕上がっています。
クリフォード・スティル(2022AW )
出典 ims-create.co.jp
元ZOZO社長の前澤友作氏が23億円で落札した作品を手掛けたクリフォード・スティル。クリフォード・スティルの作品は、躍動感があるのがポイント。2022年AWのコレクションも、ギザギザに引き裂かれたような荒っぽい色彩表現が特徴です。初ランウェイショーにてふさわしくなるよう動的にして鮮やかな作品からイメージを得たことで完成しました。
YOKE×Clyfford Still 22AW STILL JACQUARD CARDIGAN MOHAIR
ダイナミックな色彩を合わせるのは、ニットカーディガン。まるでギザギザに破れたような色面、大胆な色使いでクリフォード・スティルの作品を表現しています。オレンジやブルーなどが使われ、色彩がその下層に異なる色彩を覗かせるというクリフォード・スティルの特徴を表しています。
ヘレン・フランケンサーラー(2023SS)
出典 art-rec.com
2023年のSSコレクションでは、これまでと異なり、淡い色使いのコレクションとなりました。ヘレン・フランケンサーラ―は、薄めた絵具をカンヴァスに流して染み込ませる「ステイニング」という技法を使用しており、繊細で淡い色彩の作品が特徴です。
Gradation Jacquard Cardigan
流動的に色彩が広がっていくのを表現したニットです。スプレーガンを使いグリーンやブルーなど涼しげな色を組み合わせており、鮮やかで繊細なヘレン・フランケンサーラーの作品を表現しています。
モードスケープでは、YOKEのお買取を強化しております!
現在、注目度の上がっているYOKEについて紹介しました。YOKEのアイテムは、世界的なアート作品をテーマとするアイテムもあり、アイテム自体が美術品のような繊細なデザインで作り上げられています。デザイナーの寺田氏がインタビューで応えていたように、今後はグローバルに展開していくことが予想されるYOKEは、評価も上がっていくことが期待されます。
日本では、インフルエンサーの影響もあり、すでに評価が上がってきているブランドですので、お持ちのYOKEアイテムを査定に出してみたいとお考えの方もいるかもしれません。そんな時に、モードスケープにご相談していただければ全力でお力になります。
クリーニングやお直しが必要なものでも可能な限り良いお値段をおつけできるように吟味しながらお買取りしております。汚れやダメージがあるものでも、リペアを施して販売することも可能ですので一度ご相談ください。 とりあえず値段だけ聞いて検討したいという場合は、LINE査定などで査定額を見積もることも可能です。お気軽にご相談ください。
YOKEのお買い取り案内ページはこちら
MODESCAPEでは、YOKEの買取を強化しています。シェアコートやバルカラーコートなどの雰囲気のあるアウターからオーバーサイズのニットやスウェットなど、YOKEの価値を見極め適正な査定をいたします。お買い取りをご検討の際は、お気軽にご相談ください。
YOKEの買取について
この記事を書いた人
MODESCAPE
ブランド服専門の買取店モードスケープです。トレンドから過去の名作まで、ワクワクするブランドアイテムを販売・買取しています。ファッションに関する様々な記事・コラムを配信しています。